チームで働く重要な価値は専門スキルでは可視化されない「得意」で凸凹を埋めること

  1. チームで働く重要な価値は専門スキルでは可視化されない「得意」で凸凹を埋めること

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チームとしての価値を最大化させるということ。経営する中でいつも考えていることの1つです。
最近の気づきでとても重要だなぁと思った、専門スキルでは可視化されない「得意」に注目するということについて書いてみたいと思います。

人の配置や評価は専門スキルで行われる

多くの企業のチームビルディングやプロジェクトアサインは職能ベースまたはタスクに対して、できる人(できそうな人)をアサインしていくことが通常です。また、個人、チームの評価はその専門スキルとそのスキルで発揮した成果で評価されます。

たとえば、エンジニア、デザイナーなどの専門的なスキルを持ったメンバーがいて、そこには上級者も初級レベルの人もいたとします。通常、プロジェクトでは必要な専門スキルを洗い出し、そのスキルを持った人が誰かを明らかにしチームビルディングされます。このプロジェクトでは、PMは上級レベルのPMが必要だな、でもデザインとエンジニアリングは今回は要件が簡単だから初級レベルの人でもいけるな、というような感じです。

このように、デザインが得意な人、プログラミングが得意な人、営業が得意な人といった形でビジネスにおける専門スキルとして定義され人が配置されます。

ビジネスの専門スキルでは可視化されない得意や不得意に注目する

このように専門スキルで人を配置していっても、どうもプロジェクトがうまくいかないこと、うまくいえないけれどあいつはこのプロジェクトに必要なんだよなぁ、といった、実際は専門スキル観点でチームビルディングをしていないことも多いのではないでしょうか。

専門スキルも細分化していくと、コミュニケーションスキル、ストレス耐性といったような一般的なビジネススキルにあたるようなものに分解され、そこを判断基準にすることもできそうなのですが、、どうもこういったビジネス観点で洗い出される「できる」では可視化されない、もっとその人のいわば存在に近い得意、不得意なことがチームの凸凹を埋めるポイントになっていそうな気がする、そんなところがこの文章の出発点です。

同じできることでも、ある人にとっては実は苦痛、ある人にとっては息を吸うように自然にできるようなことがある。ここに注目してみることが重要なのではないか。

例えばなにかのプロジェクトでタスク管理を通じてリスク検知をするということ

たとえばプロジェクトマネジメントでよくあるケースを考えてみます。能力的にはAさん、Bさんともにタスク管理とそこを通じたリスク管理は「できること」。
Aさんは、チャットの通知が自分にあってもなくてもゲーム的に未読0件にするのが得意で苦じゃないタイプ。空き時間にスマホでぱぱっと未読を消し、最初の数行だけ流し見するようなことでリスクや人の動きを検知する、見落としもあるかもしれないが、広範囲にリスク管理が得意。

Bさんは、しっかり時間を取って腰を据えて読み込んで1つ1つ確実性を重視して判断するタイプ。量を見ようと思うと時間がかかるが確実性が高い。

ビジネスはQCD(Quality-品質、Cost-コスト、Delivery-納期)のバランスなのでAさんBさんのどちらが良いというのではなく、まさに適材適所です。

ここで注目したいのは心理負担です。

AさんにBさんと同じ確実性を期待するとAさんにとっては苦痛、Bさんに広範囲とスピードを期待すると苦痛。たとえば、BさんにAさんの精度でいいからと同じ範囲を期待したらかかる工数は10倍くらい違い、心理負担も大きい。そんなことはよくあります。

Aさんにとっては息を吸うような形で自然にできることだけど、Bさんに取っては苦痛でとても努力しなければならない。好きこそものの上手なれとまではいかないまでも得意、苦痛じゃないというのはありそうです。

Aさん、BさんともにPM習熟度が5段階で4だとしても、専門スキルベースの「できる」からだけでは可視化されない「得意」を理解してお互い助け合うということに注目してチームの凸凹やアサインを考えることが良いのではないか、という仮説をもちました。

全員で他の人の得意を書いてみたらとても自己肯定感と心理的安全性があがった

この仮説を検証していく初動として、社員全員で専門スキルでできるでは、可視化されないような○○さんは□□が得意というキーワードをいっぱい上げてみよう、というオンラインワークショップをやってみました。

ワークショップの手順
1:ZOOMを使い、4,5人のブレイクアウトルームを作る
2:スプレッドシートの行に全員分の名前、列に○○さんは□□が得意というキーワードを最低3つあげていく(3分目安)
3:3分経たなくても、ひとりに対して3つの得意を書いたら次の人へ。ブレイクアウトルームのメンバー全員に対して、3つ以上かけたらあとは順不
でキーワードを増やす
4:15分ブレイクアウトルームでキーワードを増やしたら、メインルームにもどり全社員に対して○○が得意というキーワードを増やす作業を10分ほど
5:出来上がった得意をファシリテーターが早口で読み上げていく。その間もどんどん追記する

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やってみた結果、こんな得意があるんだなぁ、といったような気付きがいっぱいでました。
さらに良かったのが、○○さんの良いところもあわせていっぱい書かれたことです。これは得意とはいえないが、これを気に良いところを書きたい!っていう気持ちが出たのだと思います。

ワークからでた得意、良いところを少しご紹介します。(分類はわたしによるもので、ワークでは粒度は関係なく出しています)

仕事に直結しそうだが従来だとなかなか可視化されない得意

・相手を元気にさせるのが得意
・声や話し方が可愛いので場を和ませるのが得意
・ペースを合わせてくれるのが得意
・人から話を聞き出すのが得意
・図解が得意

ここはまさに狙っていたようなところです。

仕事の成果の遠因になりそうな得意

・性格を見抜くのが得意
・人に好かれるのが得意(無意識)
・絵文字の使い方が得意
・いてくれるだけで安心する
・存在だけで相手を安心させるのが得意
・相手を元気にさせるのが得意
・いつでも誰に対しても優しく、同じペースで対応するのが得意
・社内のちょっとしたこと(雑務)も積極的に対応するのが得意

といったような少し距離感があるが、ふむふむ、なるほどなぁというようなものが大量にでました。

・デッドライン過ぎたタスクをこなすのが得意

なんていうのもあり、塩漬けタスクを再度自力でやりだすって特殊能力に近い、たしかにー!というものも。社内ものとか長期PJだとこういった人をPMで入れておこうかなぁなんてことも考えちゃいます。

一定、○○が得意ということの縛りをつけたのですが、
・困ったら絶対助けてくれる
・癒される
・いつも笑顔
など良いところ、うれしいところなども大量に出ました。

「いてくれるだけで安心」「あなたがいてくれてうれしいという」beingの価値

さらにここで注目したいのは、「いてくれることに安心する」というコメントです
これは専門スキル、ビジネス系の価値洗い出しからはまずでないものです。今回のワークショップでは、これに類するコメントが多くの人で出たことに驚きました。

専門スキル、成果はDoingとして評価されやすいですが、「いてくれることで安心する」といったような、beingの価値というのは組織のなかで評価も可視化もされにくい一方で、とても重要な気がします。

Well-Beingが注目されるなか、組織の中でどのように扱っていくのか難しいところではありますが、このbeingの価値、「あなたがいてくれてうれしいという価値」はチームでの価値を最大化する上では重要なポイントだと思います。

今回、このワークで多くの人のbeingの価値が可視化され、共有されたことはかなり重要なことでした。いわゆる心理的安全性と自己肯定感につながったというような声から、なかなか感謝やいいところを伝えることが出来なかったので、この場がとても良かった、参加出来なかったので、あとで私も書いていいですか?というようなことまで起きました。うれしい。

素案を作るのがめちゃくちゃ早いという「得意」をもったAIを仲間にいれる

ここまでが本記事の本題ですが、こういった専門スキルとそこでは言語化されない得意・不得意でチームの凸凹を埋めていく中で、AIをどのようなメンバーとして配置していくのかがこれから考えるポイントだと思っています。

2022年末から一気に注目度が高まったジェネレーティブAIにより、なにかしらのテキスト、モック、イメージの素案をものすごく短時間に大量に作るが「得意」なメンバーとして迎えられます。いまは正誤判定など注意しなければならないところがありますが、まさにそれは「不得意」な領域として、AIが得意なところはもう身近な業務で迎えるタイミングになりました。

実際、ChatGPTとCatchyを組みわせて企画素案を作るなどで利用が始まっています。

まとめ

・チームで働くということは凸凹を補い働くということ
・凸凹は専門スキルで可視化されない得意で考えると新しい発見がありそう、生産性にも大きく関わりそう
・専門スキルではない得意をみんなで洗い出すワークはとても自己肯定感と心理的安全性があがる
・「あなたがいてくれてうれしい」というBeingの価値を組織のなかでも可視化、評価することに注目したい
・AIの得意、不得意を理解してメンバーとして迎える

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